2024年5月20日、群馬サファリパークで女性飼育員がマレーバクに噛まれ重傷を負う事故が発生しました。
また2023年9月、東北サファリパークのベテラン飼育員がライオンに襲われ死亡する痛ましいできごとも記憶に新しいです。
動物園やサファリパークで起きた過去約20年の国内死亡・負傷事故を調べると、同様の事故が何度も発生していることがわかりました。
この記事では、過去に起きた国内の動物園やサファリパーク死亡・負傷の痛ましい死亡・負傷事故24件を一覧にまとめ、時系列で詳細を紹介しています。
※この記事は2024年5月21日に更新しました。
動物園死亡事故一覧!【日本国内】
動物園・サファリパークの国内の死亡・負傷事故をまとめてみました。
時期 | 場所 | 動物 | 被害者 |
2024年 | 群馬 サファリパーク | マレーバク | 女性 飼育員 |
2023年 | 福島県東北 サファリパーク | ライオン | 男性 飼育員 |
2022年 | 栃木県那須 サファリパーク | トラ | 男女 飼育員 |
2020年 | 鹿児島県 平川動物公園 | ヒョウ | 女性 飼育員 |
2019年 | 東京都 多摩動物公園 | サイ | 男性 飼育員 |
2019年 | 愛媛県 とべ動物園 | ゾウ | 男性 飼育員 |
2018年 | 鹿児島県 平川動物公園 | トラ | 男性 飼育員 |
2018年 | 東京都 上野動物園 | ゴリラ | 女性 飼育員 |
2017年 | 和歌山県 アドベンチャーワールド | ゾウ | 男性 飼育員 |
2017年 | 長野県 小諸市動物園 | ライオン | 女性 従業員 |
2017年 | 群馬 サファリパーク | ゾウ | 男性 飼育員 |
2016年 | 群馬 サファリパーク | クマ | 女性 従業員 |
2012年 | 静岡県富士 サファリパーク | ゾウ | 男性 飼育員 |
2012年 | 秋田八幡平 クマ牧場 | クマ | 女性 従業員 |
2011年 | 福岡県 大牟田市動物園 | ライオン | 男性 飼育員 |
2008年 | 京都市動物園 | トラ | 男性 飼育員 |
2005年 | 京都市動物園 | シロクマ | 男性 飼育員 |
2005年 | 静岡県富士 サファリパーク | クマ | 男性 従業員 |
2005年 | 富山市 ファミリーパーク | クマ | 男性 飼育員 |
2003年 | 九州自然動物園 アフリカンサファリ | ライオン | 男性 職員 |
2000年 | 町田市 動物プロダクション | トラ | 男性 飼育員 |
2000年 | 栃木県那須 サファリパーク | ライオン | 男性 飼育員 |
1997年 | 栃木県那須 サファリパーク | ライオン | 女性 飼育員 |
1997年 | 群馬 サファリパーク | トラ | 来園者 夫婦 |
国内動物園の死亡・負傷事故24件の詳細を紹介します
過去約20年で、国内で起きた動物園の死亡・負傷事故について詳細を紹介していきます。
【群馬サファリパーク】負傷事故(マレーバク)2024年
2024年5月に21歳の女性飼育員がマレーバクに嚙まれ重傷を負いました。
女性飼育員は入社1年2ヶ月でした。
事故後のいきさつは以下の通りです。
- 午前中から飼育員2人体制で、マレーバクの餌やり・ブラッシング作業をしていた
- 午後0時半頃、女性飼育員(21歳)は1人でメスの成獣「ワカバ」をブラッシングをしていた
- 「ワカバ」は横たわってブラッシングをされていた
- 4月に生まれたばかりの子どものマレーバク「まこも」が「ワカバ」のお尻にあごをのせてつついて邪魔をした
- 驚いて腹をたて体を起こした「ワカバ」が目の前にいた女性飼育員の右手首と右腕を噛んだ
- 噛まれた女性飼育員はドクターヘリで前橋市内の病院に搬送された
- 女性飼育員は、右腕骨折の重傷を負った
温厚なマレーバク
マレーバクは本来温厚で、デッキブラシなどで行うブラッシングが大好きです。
他動物園などでは、一般来園者がブラッシング体験をして気持ちよさそうなマレーバクと触れ合うことも可能です。
今回の群馬サファリパークの事故は不運が重なったのかなぁ
動物の動きはなかなか予測できないものだね…
福島県【東北サファリパーク】死亡事故(ライオン)2023年
2023年9月に53歳のベテラン(勤続27年)の男性飼育員1名が、ライオン(メス)に襲われ死亡しました。
事故後の殺処分⇒無し
事故のいきさつは以下の通りです。
- 死亡した男性飼育員は監視員と2人で閉園準備をしていた
- 午後3時20分、ライオンを放し飼いエリアから獣舎のオリへ誘導するため、オリに餌を置いた
- オリには展示エリア側と従業員通路側の2か所に扉があった
- オリの中へライオンを誘導したが、従業員通路側の扉が閉まっていない(閉め忘れた)ことに気が付いた
- 男性飼育員が急いで従業員通路側の扉を閉めに行ったが、ライオンが扉に向かう方が早くオリに引きずり込まれた
- 作業していた監視員が異変に気が付いて駆けつけたが、オリの中に入れず、ライオンと男性飼育員を引きはがすのに10分あまりかかった
- 午後4時48分搬送先の病院で死亡が確認される
関連参考記事⇒福島民友ニュース「飼育員用の扉を閉め忘れたか 東北サファリパーク死亡事故」
⇒福島民報「東北サファリパークを家宅捜索 飼育員死亡で福島県警 業務上過失致死の疑い 福島県二本松市」
施設の安全の手引には、扉の施錠の状況などを「指さし」で確認するよう定められていたそうです…
栃木県【那須サファリパーク】負傷事故(トラ)2022年
2022年1月に女性飼育員2名、男性飼育員1名がベンガルトラの「ボルタ」(11歳・オス)に襲われ負傷しました。
事故後の殺処分⇒無し
事故のいきさつは以下の通りです。
- 開園前の午前8時20分ごろ、安全確認をしていた女性飼育員(26歳)がベンガルトラ「ボルタ」に襲われた
- 「ボルタ」は柵のあるオリの中にいるはずが、実際は展示スペースに向かう通路にいたため、鉢合わせた
- 「わぁ」という叫び声に気が付いた男性飼育員(24歳)と女性飼育員(22歳)が駆けつけ相次いで襲われた
- 午前8時55分頃、獣医師が麻酔銃をうち救助
- 葛原支配人が119番通報し、ドクターヘリなどで搬送された
- 同僚を助けようとした女性飼育員(22歳)は右手首から先を失う重傷を負った
事故の原因
- 「ボルタ」は事故前日の閉園の午後4時半すぎに獣舎に戻る予定だった
- 獣舎には餌の肉を用意していたが、「ボルタ」が食べた形跡はなかった
- 前日の担当者は「通路に入れたが、獣舎に入れたかは記憶にない」と話していた
- そのため「ボルタ」は、獣舎に入らず餌も食べないまま朝を迎えた可能性が高い
「ボルタ」は『ゴールデンタビータイガー』という世界に30頭しかいない希少種で、黄金色の毛色と、薄茶色の縞模様が特徴!
俳優ジョン・トラボルタの髪色が名前の由来だって・・・
事故の5か月後、「ボルタ」は急性心不全で突然死んじゃったんだ
関連参考記事⇒週刊女性PRIME「飼育員3人を襲ったトラ、那須サファリパークは「殺処分されることはありません」
⇒産経ニュース「トラにかまれた飼育員、手首失う 通路で鉢合わせ」
鹿児島県【平川動物公園】負傷事故(ヒョウ)2020年
2020年12月に20代の女性飼育員が、クロヒョウの「セピア」に襲われ負傷しました。
事故後の殺処分⇒無し
事故のいきさつは以下の通りです。
- 女性飼育員が「セピア」に餌を与える
- 観察のため、天井近くにある柵格子から中をのぞく
- 天井近くにある柵格子まで「セピア」が飛びつき、約5cmの隙間から両足の爪で女性飼育員をひっかく
- 女性飼育員は、側頭部と両手を負傷し1週間入院
補足※柵格子の隙間は約5cmで前足を20cm~30cmほど出せる状態
動物観察用に設けてある天井付近の格子に、給餌中にいきなり垂直に飛び掛かってくるなんて思いつかないわ…
関連記事⇒「平川動物公園 クロヒョウ舎内で発生した事故について」
東京都【多摩動物公園】死亡事故(サイ)2019年
2019年8月に50代ベテラン飼育員(勤続20年以上)が、インドサイ「ビクラム」(推定18歳・オス)に襲われ死亡しました。
事故後の殺処分⇒無し
事故のいきさつは以下の通りです。
- 足の皮膚に疾患のあったインドサイ「ビクラム」に塗り薬を準備する
- 飼育員の作業用の通路から檻の中にいる「ビクラム」に薬を塗ろうとする
- 何らかの理由でサイが暴れ、鉄格子の間から飼育員を角で突くなどして攻撃
- 飼育員はわき腹や背中に大量の出血があり、あばら骨も折れていた
- 連絡がつかず、心配してかけつけた同僚が園を通じて119番通報したものの死亡が確認された
※上記は、倒れていた飼育員の現場の状況から推測したいきさつになります。
格子越しに襲われるのは、クロヒョウの「セピア」と同じだ…
動物は予測できないな…
関連記事⇒日刊ゲンダイ「多摩動物公園で飼育員死亡「おとなしい」サイに何が起きた」
朝日新聞デジタル「サイに襲われたか、獣舎で飼育員死亡 多摩動物公園」
愛媛県【とべ動物園】負傷事故(ゾウ)2019年
2019年3月に30代男性飼育員が、メスのアフリカゾウの「媛(ひめ)」(12歳)に襲われ、肋骨と左肩を骨折する重傷を負いました。
事故後の殺処分⇒無し
事故のいきさつは以下のの通りです。
- 男性飼育員は1人で3頭のアフリカゾウを順番にゾウ舎の運動場から別の運動場に移動させていた
- 2頭を移動させた後、最後に「媛(ひめ)」を移動させようとしたところ襲われた
補足※「媛(ひめ)」は他の2頭に比べ、移動を苦手にしていたそうです。
参考記事⇒産経ニュース「アフリカゾウに襲われ飼育員けが 愛媛県立とべ動物園」
鹿児島県【平川動物公園】死亡事故(トラ)2018年
2018年10月、40歳男性飼育員が、ホワイトタイガーの「リク」(5歳・オス)に襲われて死亡しました。
事故後の殺処分⇒無し(遺族の意向)
事故のいきさつは以下のとおりです。
- 夕方閉園直後に、ホワイトタイガー「リク」のいる展示スペースで、首から血を流して倒れている男性飼育員を発見
- 発見時「リク」と男性飼育員は何故か同じスペースにいた
- 発見した職員が119番に通報したが、心配停止であった
- 搬送先の病院で死亡が確認された
謎が残る事故
この事故の謎は発見時、ホワイトタイガー「リク」と飼育員が一緒に展示スペースにいたことです。
そして、通路につながる扉は閉まっていました。
上図はトラを寝室へ誘導する際の、扉の開け閉めの方法です。
事故の後、飼育員が扉を閉め忘れたのかと想像していました。
しかし、上図(朝日新聞デジタル参考)を見ると、その可能性は極めて低いことがわかります。
平川動物公園のトラの誘導は、そもそもトラと人間が接触しない方法だからです。
会見で、石堂園長は「飼育員とトラが鉢合わせることはあり得ない。原因が全然わからない」と話していたようです。
さすがにトラがいる展示スペースに自ら入ることはないだろうし…
防犯カメラがないと真相はわからないね…
関連記事⇒産経ニュース「「殺処分」か「展示」か 飼育員死なせたホワイトタイガー公開再開」
東京都【上野動物園】負傷事故(ゴリラ)2018年
2018年3月、40代の女性飼育員がゴリラに噛まれ負傷しました。
事故後の殺処分⇒無し
群れでゴリラを飼育しているため、負傷させたゴリラの名前は園側も把握していないようです。
事故のいきさつは次の通りです。
- 事故日は開園記念日で、普段より多くの来園者で賑わった日だった
- 女性飼育員が閉園準備のため、ゴリラを展示用の檻から生活スペースの檻に移そうとした
- 施錠されているはずの扉が開き、飼育員用通路に出てきたゴリラに右手を噛まれる
- 病院に緊急搬送される
和歌山県【アドベンチャーワールド】死亡事故(ゾウ)2017年
2017年3月、30代男性飼育員(タイ国籍)がアジアゾウ「ラリー」(メス・40歳)に襲われ死亡しました。
事故後の殺処分⇒無し
事故のいきさつは以下の通りです。
- 開園前の午前9時頃からもう一人の飼育員と一緒にアジアゾウ「ラリー」に水をかけていた
- 「ラリー」が突然立ち上がり、鼻を使って襲ってきた
- 鼻で攻撃された男性飼育員は鉄製のオリで頭部などを強打
- もう一人の飼育員が救助した
- 病院へ搬送されたが、死亡が確認された
参考記事⇒産経ニュース「温厚なゾウがなぜ飼育員襲ったのか 原因不明の死亡事故、人気イベント中止のアドベンチャーワールド苦悩」
アドベンチャーワールド「アジアゾウによる飼育担当者の死亡事故について」
過去に一度も「ラリー」が人を襲ったことは無かったため、原因はわからないそう…
長野県【小諸市動物園】負傷事故(ライオン)2017年
2017年2月、20代の女性飼育員がライオン「ナナ」(メス・15歳)に襲われ負傷しました。
事故後の殺処分⇒無し
事故のいきさつは以下の通りです。
- 女性飼育員は、清掃のためライオン「ナナ」を寝室から屋外展示スペースへ移動させていた
- その際、スタッフ通路の扉を閉める作業を怠り、寝室とスタッフ通路がつながった状態になっていた
- 直後に、襲われる
- 子どもと来園していた女性が屋外側で女性飼育員がライオンに襲われているところを発見し、男性飼育員へ知らせる
- 男性飼育員に助け出され病院へ搬送される
この後、園は2か月休園しました。
小諸市は損害をこうむったとして、女性職員と管理者(50代課長補佐)を懲戒処分(「訓告」・「厳重注意」)にしました。
参考記事⇒産経ニュース「小諸市動物園のライオンかみつき事故 扉閉め忘れた「人為ミス」 検証委が報告書」
襲った「ナナ」は、村上春樹さんに「僕は人生に寂しくなると、ななちゃんのことを思い出します」と紹介された有名なライオンなんだって!
【群馬サファリパーク】負傷事故(ゾウ)2017年
2017年8月、30代の男性飼育員(インドネシア国籍)がスマトラゾウ「アスワタマ」(8歳・オス)に襲われ負傷しました。
事故後の殺処分⇒無し
事故のいきさつは以下の通りです。
- 午前9時55分頃、インドネシア国籍の飼育員と同国籍の研修生4人と日本人従業員あわせて6名が「ゾウセクション」で作業をはじめた。
- 獣舎から展示エリアにゾウを移動させて、飼育員がエサやりをしていた
- ゾウが飼育員の右足をゾウ踏んだ
下記産経ニュースの記事では、「インドネシア国籍の飼育員がうつぶせになったところを、スマトラゾウ「アスワタマ」に腰のあたりを前あしで踏まれた」と記載されています…
関連参考記事⇒産経ニュース「ゾウに踏まれ飼育員重傷 群馬サファリパーク」
スマトラゾウが見れるのは日本国内で、群馬サファリパークだけ!
【群馬サファリパーク】死亡事故(クマ)2016年
2016年8月、40代のベテラン女性従業員(勤続約26年)がツキノワグマに襲われ死亡しました。
事故後の殺処分⇒不明
事故のいきさつは以下の通りです。
- 女性従業員は、動物の監視のため、ツキノワグマの展示・飼育をしている「日本ゾーン」で巡回していた
- 午後1時10分頃、車内にいたところ、運転席側の窓からツキノワグマに襲われ、左胸やわき腹を噛まれた
- 運転席側の窓に設置した防護用のステンレス製パイプが外れていた
- 園内バスの運転手が巡回車にクマが入っているのを発見
- 近くの男性従業員がクマを追い払った
- 約2時間半後、出血性ショックで死亡が確認された
普段から巡回中は異常確認のため車窓を開けていたそう…
パイプは窓に1本だけ(横向き)だったみたい…
静岡県【富士サファリパーク】死亡事故(ゾウ)2012年
2012年10月、30歳のベテラン男性飼育員(ラオス国籍・ゾウ飼育経験15年)がアジアゾウ(メス)に襲われ死亡しました。
事故後の殺処分⇒無し
事故のいきさつは以下の通りです。
- 18歳の母親ゾウと生後2日目の産まれたばかりの子ゾウがゾウ舎にいた
- 午前3時前後に子ゾウの確認のため他の飼育員と訪れた
- 母親ゾウが子ゾウを攻撃しはじめた
- 助けようと男性飼育員がオリに入ったところ、母親ゾウに襲われた
- 搬送先の病院で死亡が確認された
秋田【八幡平クマ牧場】死亡事故(クマ)2012年
2012年4月、69歳女性従業員と75歳女性従業員の2人がヒグマに襲われ死亡しました。
事故後の殺処分⇒脱走したクマ6頭全て射殺
事故のいきさつは以下の通りです。
- 午前8時頃、69歳の男性従業員と女性従業員2人が餌やりと除雪の作業をはじめた
- 男性従業員が、75歳女性従業員の「クマが逃げた」と叫びながら走ってきた
- 男性従業員が駆けつけると75歳従業員がクマに襲われていた
- もう一人の69歳女性従業員が倒れているのを確認
- 男性従業員が、施設の外へ出て経営者に連絡し、秋田県警に通報、猟友会に連絡
- 猟友会が女性従業員を引っ張りあうクマの姿を確認
- 正午過ぎに県警はクマの射殺命令を下した
- 午後4時に脱走したクマ6頭すべてが射殺された
- クマは慢性的なエサ不足で飢えていた
- 女性従業員はどちらか判別できない程だった
- ヒグマの内臓からは、人間の肉片、毛髪、衣類が確認された
事故の原因
内側の隅の一部では壁の高さに近い所まで雪が積もっていた
運動場にできた雪山を足場にして、周りを囲む高さ約4.5メートルのコンクリート製の壁を越えて脱走
経営が立ち行かなくなり、閉園が決まった園は、慢性的なエサ不足で劣悪な環境下でクマを飼育していた
事故後、経営者(68)と元従業員(69)が業務上過失致死容疑で逮捕されました。
この事故はあまりにも残酷すぎる…
従業員が全員高齢なのも気になった…
ヒグマは一般的にツキノワグマより獲物に対する執着が強く、より危険度が高いといわれているよ
参考関連記事⇒文春オンライン「《被害者はどちらか?》「脱走したヒグマ」が女性従業員2人を殺害…“劣悪な飼育環境”が招いた「秋田八幡平クマ牧場事件」の顛末」
福岡県【大牟田市動物園】負傷事故(ライオン)2011年
2011年3月、20代の男性飼育員がライオンに襲われて負傷しました。
事故後の殺処分⇒不明(おそらく無し)
閉め忘れたカギをかけようとした瞬間ライオンに襲われました。
大牟田市動物園では、事故後清掃などは2人一組で行うようになりました。
(※大牟田市動物園ライオン負傷事故のこれ以上詳しい情報が見つかりませんでした)
【京都市動物園】死亡事故(トラ)2008年
2008年6月、40歳のベテラン男性飼育員がアムールトラ「ビクトル」(11歳・オス)に襲われて死亡しました。
事故後の殺処分⇒無し(2010年浜松市動物園へ移送)
事故のいきさつは以下の通りです。
- 午前9時50分頃、飼育員が襲われているところを女性来園者が発見し動物園事務所に通報
- 事故は清掃の時間帯に起きた
- 麻酔銃を撃ち、飼育員を救出するも頭部や首などを噛まれていた
- 搬送先の病院で死亡が確認された
※通常は清掃の時間帯は、トラの寝室のシャッターがおりているがこの日は開いていました。
京都市動物園の事故後の努力が凄い!
- 飼育員と動物の鉢合わせを防ぐ扉の管理システム導入
- 他の飼育員にトラブルを知らせるための無線機携帯
- 作業者の後ろで作業の手順が間違っていないかを確認するための『ダブルチェック』あり
- 事故の多い動物の移動には係長以上の職員が立ち会う
この努力は凄い!
関連参考記事⇒福テレ「15年前の教訓 再発防止に取り組む京都市動物園の対策 ダブルチェックと危機意識の大切さ【福島発】」
【京都市動物園】負傷事故(ホッキョクグマ)2005年
2005年1月、46歳の男性飼育員がホッキョクグマ「ポール」(30歳・オス)に襲われ負傷しました。
事故後の殺処分⇒無し
開園前にクマをオリから出す際の事故でした。
この日、ホッキョクグマ担当飼育員が休みで代わりに対応した飼育員が襲われました。
(※京都市動物園ホッキョクグマ負傷事故のこれ以上詳しい情報が見つかりませんでした)
静岡県【富士サファリパーク】死亡事故(クマ)2005年
2005年10月、30代のベテラン男性従業員(勤続14年)がヒグマに襲われ死亡し、別の新人従業員が負傷しました。
事故後の殺処分⇒不明
事故のいきさつは以下の通りです。
- 開園準備前に飼育小屋から放し飼いエリアにクマを移動させていた
- 作業は、別の従業員が安全な場所から飼育小屋の扉を開け、被害にあった男性従業員が車でヒグマを放し飼いエリアに追い込む予定
- 何故か男性従業員は車外に出ていたため襲われた
この事故は、のちに死亡した飼育員の遺族が、園と一緒に作業をしていた飼育員の元少年(当時19)に訴訟を起こしているよ
関連参考記事⇒日経コンパス(有料記事)「富士サファリパーク、クマ飼育員襲撃、遺族が園側提訴。」
【富山市ファミリーパーク】死亡事故(クマ)2005年
2005年3月、50代のベテラン男性飼育員がツキノワグマ(22歳・オス)に襲われ死亡しました。
事故後の殺処分⇒不明
事故のいきさつは以下の通りです。
ツキノワグマのオリの清掃をしているところを襲われたようです。
事故当時、襲ったツキノワグマのオリの扉が開いていたそうです。
(※富山市ファミリーパークのクマによる死亡事故のこれ以上詳しい情報が見つかりませんでした)
大分県【九州自然動物園アフリカンサファリ】死亡事故(ライオン)2003年
2003年4月、男性従業員がライオンに襲われ死亡しました。
事故後の殺処分⇒不明
事故のいきさつは以下の通りです。
- サファリゾーン(放し飼いエリア)を巡回中の職員が、1台の車にライオンが群がっているのを発見
- 襲われた従業員の車のドアは開いていた
(※九州自然動物園アフリカンサファリのライオンによる死亡事故のこれ以上詳しい情報が見つかりませんでした)
町田市動物プロダクション死亡事故(トラ)2000年
2000年2月、男性飼育員がベンガルトラに襲われ死亡しました。
事故後の殺処分⇒薬殺処分された
事故のいきさつは以下の通りです。
- 男性飼育員がベンガルトラにエサを与える際に襲われた
- 普段エサを与えている飼育員とは別の飼育員だった
※このベンガルトラは東京都に届け出が出されておらず、違法に入手した可能性が指摘されていました
栃木県【那須サファリパーク】負傷事故(ライオン)2000年
2000年12月、20代の男性飼育員がライオン(14歳・メス)に襲われ一時重体となりました。
1997年のライオンの負傷事故からたった3年後の事故になります。
事故後の殺処分⇒不明(おそらく無し)
事故のいきさつは以下の通りです。
- 午前11時15分頃、男性飼育員が2人の女性従業員とともに獣舎内通路を清掃もしくは給餌中に(注釈1)、オリにいたライオンが襲ってきて頭や背中など数カ所を噛まれた
- 襲ってきたメスライオンのオリの扉が施錠されていなかった
- 搬送されたが、出血がひどく一時重体となった
- 女性従業員2人に怪我は無かった
※関係参考記事⇒The Japan Times“Lioness mauls zoo employee during cage cleaning” (英語)
関連参考記事⇒「2000年12月25日毎日新聞夕刊」紙面を図書館で直接確認しました。
注釈1※事故当時についてThe Japan Timesには清掃中(The 14-year-old lioness attacked (被害者の名前), 21, at around 11:15 a.m. while he was cleaning a fenced-off area for lions at the Nasu Safari Park)と記載されていますが、毎日新聞夕刊紙面では「従業員は、ライオンのオリで、餌をやろうとしていた」と記載されています。
この事件では、サファリゾーンを車でまわっていた来園者が偶然被害者がライオンに襲われているところを撮影しており、それがそのまま報道されました。
・女性従業員2人がライオンを刺激しないように物陰で泣いているところ
・ライオンに襲われている男性従業員の「あー、痛いよ」という声
が撮影されており、私自身この報道映像は夜眠れないほどのトラウマとなりました。
私の記憶だと当時「カギを閉め忘れるのはありえないから、ライオンと親しいところを女の子2人に被害男性(飼育員)が見せたかったのでは?」「猛獣との関係を過信したのでは?」など被害者を責めるような報道を散見した記憶があります。
補足※YouTubeや他ブログ記事などで男性従業員が襲われている動画を1997年の事故として紹介されていますが、2000年の事故が正当かと思われます。
栃木県【那須サファリパーク】負傷事故(ライオン)1997年
1997年11月、23歳女性飼育員と19歳女性実習生がライオン(10歳以上)に襲われ負傷しました。
事故後の殺処分⇒不明(おそらく無し)
事故のいきさつは以下の通りです。
- 午後4時半の営業終了後、女性飼育員と実習生は放し飼いエリアにいたライオン5頭を飼育エリアのオリの中に入れた
- ライオンのエサを与える準備をしていた
- 飼育員との間を遮る扉のカギを閉め忘れていた
- エサの臭いでメスライオン1頭が扉をくぐって襲い掛かってきた
- 女性飼育員は後頭部と首をかまれ1か月のけがだった
- 女性実習生は背中を2カ所かまれ3週間のけがだった
関連参考記事⇒「1997年11月14日毎日新聞」紙面を図書館で直接確認しました。
【群馬サファリパーク】死亡事故(トラ)1997年
1997年8月、60代の来園客夫婦2名がトラに襲われ死亡しました。
事故後の殺処分⇒不明(おそらく無し)
事故のいきさつは以下の通りです。
- 来園客2組は園内サファリゾーンを2台の車で走行していた
- 1台に被害者夫妻と孫、もう1台に被害者の子ども夫妻が乗っていたとみられる
- 孫がむずがったため、もう1台の車に孫をうつそうと祖母が車外に出てトラが襲いかかる
- 助けようと車外に出た祖父も別のトラに襲われる
- 孫は従業員が助けて無事だった
(※群馬サファリパークのトラによる来園客死亡事故のこれ以上詳しい情報が見つかりませんでした)
さいごに
今回、動物園死亡事故一覧を作成し、24件の詳細をまとめてみました。
そして、気が付いたことがいくつかあります。
- 死亡にいたるレベルで襲った動物は、ライオン・トラ・クマ・ゾウ・サイ
- 襲ったライオンのほとんどがメスライオン
- 襲われる従業員の年齢・経験年数はバラバラ
- 襲われる時間帯は開園前・閉園後が多い
- 動物園よりサファリパークで事故が起きている
- 襲われるシチュエーションは、動物の移動時が多い
- 襲われる原因はほぼヒューマンエラー(主に施錠忘れ)
- 来園者が多い日、飼育担当が違うなども事故の原因になりうる
- 襲った動物が殺処分されることはほとんど無い
日本国内の動物園は100前後(日本動物園水族館協会所属は89施設)ですが、サファリパークは13施設しかありません。
そのため、飼育員が猛獣に襲われる死亡事故は圧倒的にサファリパークの割合が多いです。
サファリパークは、動物の数と動物の移動が多いです。
原因のほとんどがヒューマンエラーということは、“ヒヤリハット”なんて日常茶飯事なのかなと感じちゃいます。
ヒューマンエラーを予防するための取り組みよりも、「必ずヒューマンエラーは起きるもの」とした対応(機械的な装置)が必要なのかなと感じました。
そういえば、私が動物園でバイトをしていた時、動物に起きたトラブルの対応などについて教育されたことも文書をもらったことも無かったな…
何度死亡事故が報道されても繰り返し事故が起きているので、動物と飼育員さんの安全のため、今までとは違う対策の必要がありそうですね。
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