OSO18は、2019年から標茶町(しべちゃちょう)や厚岸町(あっけしちょう)でウシ計66頭をたった1匹で襲っていたヒグマのコードネームです。
罠を見抜く高度な知能を持ち、襲った牛のうち約半数は傷つけ弄んだだけ、という猟奇的でサイコパスを連想させるヒグマでした。
そしてOSO18は、2023年7月30日にハンターによって意外にあっけなく駆除されました。
4年もの間、捕まらない恐怖から解放され北海道だけではなく全国民が安堵に包まれていると思っていました。
ところが、事態は意外なクレームで話題になりました。
OSO18を駆除したハンターに、「なぜ殺したのか」「かわいそうだ」などの抗議や苦情が役所や本人・家族にまでよせられました。
人を襲う可能性のある肉食のヒグマを駆除し、ジビエとして食べる…
何が悪いのか全くわからない…
私自身が、OSO18の駆除に全く抵抗が無かったため、「『OSO18を殺さないで』『かわいそう』と思う気持ちを逆に知りたい」と思いました。
そこで、クマ駆除に反対する理由を調査しましたので、一つ一つ紹介していきます。
「OSO18がかわいそう」という意見の方々の真意はどのようなものなのでしょうか?
集めた意見の主なものが以下の通りです。
- 牧草地までおりてきた理由は、人間が自然を切り開いて餌が枯渇したせい
- 牧草地を襲った理由は、人間がエゾシカを保護し肉が豊富になったせい
- 山に返せないのなら、動物園かクマ牧場で飼育すればよい
- 猟友会に不信感がある
- 外国ではクマと共生している地域もある
①人間の自然破壊に問題あり
ヒグマの生息地である北海道の自然を開拓していったのは人間なのだから、ヒグマに敬意をはらうべき、という意見もあるようです。
自然破壊・環境破壊に関する世間の声
OSO18について「人間の自然破壊のせいでクマが住めなくなったのでは⁉」という意見です。
「クマの住む自然に人間が侵入し、山を切り開き、牛を放牧したせい」という意見もありました。
また、今年(2023年)はクマの主食であるドングリが不作でその原因が地球温暖化である、(エビデンスは不明)との意見もありました。
今年のドングリの不作は北海道だけではない(令和5年堅果類『ドングリ』の豊凶調査結果について)ため、本州のツキノワグマの人的被害も深刻な問題となっています。
ドングリが不作で人里におりてきてるのか…
②人間がエゾシカを保護し肉が豊富になったせい
2023年10月15日日曜夜放送のNHKスペシャルでは、OSO18の骨の解析をし「エゾシカの死肉を食べ、完全肉食化した」可能性に言及していました。
本来ヒグマは草食系雑食動物で、あまり肉を食べません。
ところがエゾシカの繁殖により容易に死肉にありつけるようになったことで、OSO18は完全肉食になってしまったのかもしれません。
エゾシカ繁殖に関する世間の声
動物の異変には必ず理由があるんだね…
③山に返せないのなら、動物園かクマ牧場で飼育すればよい
先日家族で行ったカドリードミニオン(クマ牧場)には確かにヒグマがいました。
こうした園で飼育されているクマを見ると「クマさん」って呼んじゃうけどね…
過去5年クマの捕殺件数
年度 | ツキノワグマ 保殺件数 | ヒグマ 保殺件数 |
2019年 | 5,283 | 756 |
2020年 | 6,085 | 859 |
2021年 | 3,475 | 819 |
2022年 | 2,959 | 796 |
2023年 ※8月末暫定値 | 2,631 | 332 |
クマの捕殺件数は毎年数千件です。
ヒグマだけでも年間700~800件捕殺されています。
駆除対象のクマを動物園などで受け入れるのは難しそう…
④猟友会に疑問
そもそも猟友会は狩猟愛好者の団体であり、獣害対策を担う組織ではありません。
奈良県猟友会で2900万円の使途不明金が発覚したり、鹿児島県霧島市で有害鳥獣捕獲数を水増し請求したりと悪いニュースも耳にしました。
ほとんどの猟友会のメンバーが真面目な人でも、こうしたニュースでイメージダウンになっているのかもしれないね…
有害鳥獣駆除の奨励金は?
有害鳥獣駆除には奨励金が支払われますが、金額は自治体によります。
ヒグマ1頭でおおよそ1万円前後です。
誤射で人命が奪われることも
猟友会が有害鳥獣駆除をする際に、仲間や一般の人を撃って死なせてしまうなどの事故がセンセーショナルに報道されています。
関連参考記事⇒Yahooニュース「獣害対策に猟友会は不向き?狩猟と有害駆除の違いを考える」
東洋経済オンライン:猟友会が「害獣駆除の決定打にならない」理由
田舎に住む私自身の叔父も猟犬を引き連れ、猟をしてるよ!
イノシシ・ウサギを撃ってさばいて唐揚げや鍋で食べてるよ…
⑤外国ではクマと共生している地域もある
アメリカのノースカロライナ州ではアメリカクロクマが人間の生活圏に入ってきて順応しているようです。
関連参考記事⇒日本経済新聞「都会の野生動物 人とクマは安全に共存できるか」
さいごに
「OSO18を殺さないで」「かわいそう」という意見について驚きました。
ですが、その発言にも理由があるはず!と思い調べてみました。
かつて北海道で猛獣であるヒグマを徹底的に駆除しようと1966年から「春グマ駆除」を開始したところ、人身・家畜被害が減り、ヒグマの個体数も減りました。
ところが、今度はヒグマの個体数が激減しすぎたため、「春グマ駆除」を廃止しヒグマ保護の傾向に変わりました。
それにより、ヒグマの個体数は年々増えている状況です。
エゾシカも同じ理由で保護され個体数が増加しています。
NHKスペシャルでは、「OSO18は、エゾシカの死肉を口にして完全肉食になってしまった」可能性を言及していました。
OSO18は駆除されましたが、新たな肉食ヒグマが出現しておかしくない状況です。
北海道ヒグマ対策室は、ヒグマの有害捕獲への理解についてハンターへの非難をひかえるよう呼びかけています。
今回、「OSO18がかわいそう」という意見にいたった理由を調べるためにSNSなどのコメントを確認しました。
すると、9割以上の意見は「OSO18の駆除に賛成、現地で生活されている方に同情」でした。
「OSO18がかわいそう」ということで意見されている方は、非常に少数派でした。
とにかく、第二第三のOSO18が登場しないことを祈ります。
コメント